透明度の高い造形物
光造形タイプの3Dプリンターでは表面が滑らかな造形物が出来上がる特徴があります。この特性を生かしてクリアレジンを造形した場合は透明度の高い造形物が出来上がります、この透明度は表面の凹凸交差が少なく光が均一に透過する事で発揮されるもので造形して洗浄した後に更に研摩する事で透明度が増します。
Form3を使用して造形した場合はおおよそ600番~800番程度で研摩したのと同じ程度の透明度があり、更に1000番から2000番まで研摩してコンパウンドで整えるとかなりの透明度が期待できます。(もし可能であれば8000番まで磨くと透明度が上がります)
造形時の注意点
3Dプリンターで作った場合は積層痕が付くのが当たり前と思われがちですが、Form3のLPU技術の様な造形方法で出力した場合には肉眼では確認が難しい程にまで積層痕を無くすことが出来ます。(25μ造形時)
今回の透明度を上げる方法も、これはあくまでも表面に限った話で実際は内部にも積層痕はあり、今回の様に透明度が高い造形物を作る場合は積層痕が見える可能性があります。 特に積層方向と平行な角度から見ると波打つような積層痕が確認できます、これを無くす事は3Dプリンターである以上不可能な為造形時に角度を調整して通常時は見えない様に造形するのが対策となります。
造形例
これらの後処理と造形方法を組み合わせる事でアクリルフィギュアの様な物を作ることが出来ます。 このデータはフィギュアの元データを作成した後に四角いブロックで反転し空気抜きの穴を付けたデータをそのまま造形しており、 表面は研摩され透明な状態だが内部は研摩されていない為に半透明となり意匠が浮き出て見える状態です。
この他にもレンズを造形すれば通常のレンズ同様使用出来、理科の光の屈折等の実験等で使用出来る他新聞を読む際の拡大レンズとして利用する等の実用的な造形が期待できます。
Extra
ここまでで出てきた樹脂は全てスタンダードのクリアレジンになります、造形しやすく表面を磨きやすいですが経年劣化による破損や強度が弱い点で工業向けには使用しにくい面があります。
強度を求めるならば透明度は劣りますが、デュラブルレジンが強度があり磨くとある程度は透明度が出るので代替えとしてお勧め出来ます。
まとめ
3Dプリンターはアイデアさえあれば様々な方向に可能性が広がる機械で特性を十分に理解すれば更に造形の幅が広がります。形だけ出す役割以外にも実用的な使用方法がある事を念頭に置いて機材を運用すると3Dプリンターの値段以上の真価を発揮してくれるでしょう。