「業務用3Dプリンタを選ぶ際には」のコラムの中で、選定のポイントをいくつか挙げましたが、今回はその中の　材料と造形方式　という点をほり下げてみたいと思います。

なお、金属材3Dプリンタは少しずつ広がりを見せていますが、高度なオペレーション、加工技術、知識を必要とし制約事項も多く、樹脂材3Dプリンタと比べて普及度や市場の規模はまだ小さいのが実情です。ここでは樹脂材3Dプリンタを中心に取り上げます。

樹脂材3Dプリンタと一口で言っても、さまざまな種類の樹脂材料があり、それらは造形方式（材料を積み重ねて形状を作り上げる方法）と強い結びつきがあります。

3Dプリンタで使用する樹脂材料

樹脂材3Dプリンタで使用できる材料には大きく分けて、熱可塑性樹脂、紫外線硬化性樹脂、これらをハイブリッドした物があります。

また、それらの材料は造形方式によって個体（フィラメント状、粉末状）で供給する物や、液体で供給する物があります。

紫外線硬化樹脂の中で、例えば「ABSライク」といった表現をする場合があります。この”ライク”とは、似たような物性的性質を有する、といった意味合いになります。実際のABS材とは異なるのでご注意ください。

樹脂材を使用する3Dプリンタ

樹脂材3Dプリンタの代表的な造形方式を挙げると、

・熱溶解積層法（FDM、FFF）：フィラメント状の熱可塑性樹脂を熱で溶かし層状に積み重ねて冷却固化させて形状を作ります。

・粉末焼結法（SLS、SLM）:粉末状の熱可塑性樹脂に対し、レーザーなどの熱源を照射し、焼結させて積み重ねて形状を作ります。

・光造形法（SLA、DLP）:バットなどに溜まった液状の光硬化性樹脂に対し、硬化させたい箇所に紫外線を照射し硬化させて積み重ねて形状を作ります。

・インクジェット法（IJT、MJT）:インクジェットヘッドから材料やバインダを噴射する方式です。紫外線硬化樹脂を使用するタイプは、紫外線硬化樹脂を噴射し、紫外線で硬化させ、さらにその上に樹脂を噴射する工程を繰り返し、積み重ねて形状を作ります。

などがあります。

非常に乱暴に大雑把にいってしまうと、

　・熱可塑性樹脂を使用する3Dプリンタ造形方式は、材料物性に優れているが、微細な表現を苦手とすることがある。

　・紫外線硬化樹脂を使用する3プリンタは、微細な表現を得意とするが、耐久性などの面で劣ることがある。

といった特徴が挙げられます。

まとめ

使用する材料や造形方式によって、得られる造形モデルは大きく異なります。造形モデルをどういった事に使用したいのか、導入目的をしっかりと定め、適切な3Dプリンタを選択することが重要です。

文章だけだとなかなかわかりにくいため、表にまとめてみました。

材料と造形方式